開催のご挨拶

 

日本胎児治療学会会長 
窪田 昭男

大阪府立母子保健総合医療センター(小児外科)


 本学会も5回目を迎え、胎児胸腔あるいは膀胱羊水腔シャントや双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下吻合血管レーザー凝固術などは確立された治療法として発表されつつあります。会員の先生方の努力と新技術や器機の発達によるところが大きいことは言うまでもありませんが、今後の更なる発展が望まれます。

 一方、横隔膜ヘルニア、仙尾部奇形腫あるいは髄膜脊髄瘤などの外科的疾患の重症例は出生後の治療では救命できないかあるいは救命できても重篤な後遺症を残すことがあり、胎児治療の必要性が痛感されます。これらに対する胎児治療は本邦でいまだ殆ど手付かずの状態です。このような状況を鑑みて、今回の学会の主要テーマを「胎児外科の現況と展望」とさせて頂き、胎児外科では自他共に認める世界の第一人者であるScott AdzickおよびJan Deprestの両先生をお呼びし、招待講演とシンポジウムを担当して頂くことに致しました。わが国における胎児外科の発展に大いに刺激を与えてくれるものと期待しております。

 また、上記の外科的疾患以外にも幾つかの先天性疾患は出生後に治療を開始しても救命できないか救命されても重篤な後遺症が残ることが知られており、胎児治療が進められておりますが、胎児治療に関しては未解決の倫理的な問題があることも事実であります。そこで、今まで触れられることのなかった「胎児治療と倫理」についても、今学術集会では突っ込んだ検討をしたいと考えております。

 出生後の治療に限界を感じ、胎児治療に期待を抱いている先生方
多数のご参加をお待ちしております。

 

 
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