会長挨拶




小久保荘太郎

聖隷浜松病院 副院長
(麻酔科)

 
第4回日本胎児治療学会を浜松で開催致します。

 分娩前の胎児に対する外科的治療が胎児治療の中心部分となりますが、今回会長を仰せつかった小生は麻酔科医です。胎児治療というのは胎児の生命維持や出生後のよりよい成長のために母体と胎児に侵襲を加える治療となります。手術中の安全管理は通常の麻酔管理に加えて胎児への酸素等生命維持物質の安定供給を維持しなければならないこととなります。また、手術室内で多くの特殊器材と看護師、臨床工学技士等の大きなチームでの仕事となります。さらに倫理的側面からの検討・検証が必須な部分でもあり科学的思考とともに情報の公開性が重要な問題でもあります。このような様々なポイントから麻酔科医の参加は胎児治療に必須であり、また反面として麻酔科医にとって胎児治療は自らの技量、チーム力、倫理性向上に大変なインパクトを与えてくれる新領域であります。

 今回、全国の様々な先進的施設からの演題をいただき先進的取り組みへの新鮮な知識吸収とともに活発な議論がなされることと期待しています。さらに特別講演としましては埼玉医科大学の照井助教授に「子宮・胎盤・胎児血流と麻酔」をお願いしました。照井先生は日本麻酔科学会では現在産科麻酔の第一人者であります。生理学の復習確認とともに最新の知見が得られるものと期待しております。そして、我が国における代表的胎児治療である双胎間輸血症候群におけるFLP治療の麻酔管理ついてシンポジウムを設けました。妊婦および小児への麻酔管理に高い見識を有します大阪府立母子医療センターの木内麻酔集中治療科部長に座長をお願いし、麻酔管理に関する考え方・問題点など討議を重ねていただけることを期待しております。

 学会のみならず、浜松はウナギ、スッポン、ヤマハ,ホンダ、スズキで名高く、理系人間にとってはワクワクする浜松ホトニクスの所在地でもあります。本学会会場は浜松駅から徒歩5分、目の前には楽器博物館という音楽好きにはニヤリとする場所がございます。浜名湖、浜松城など時間の許す限り、浜松をお楽しみいただきますよう・・・